イスラム教国のひとつであるマレーシアには、当然ながら礼拝所であるモスクがいたる所にあり、礼拝を呼びかける声「アザーン」が響きます。
モスクの中にはその規模や美しさゆえ、観光名所としてガイドブックに紹介される所もあります。クアラルンプール近郊ではシャーアラムのブルーモスク、プトラジャヤのピンクモスクが有名ですね。
今回ガイドブックにはのっていないが、大きく美しいモスク、マスジット・ウィヤーラ・ペルセクトゥアンに出会いましたので紹介します。
美しく巨大なモスクを発見
2023年3/16から新MRTのプトラジャヤ線が開通しましたが、3月いっぱい無料で乗れるため連日のように利用して各地を探索。ある日 プトラジャヤ線のJinjang駅からこれも新設と思われる無料バスGOKL・MAGENTA・LINEに乗ってみたら、行ったことのなかったモントキアラに向かうバスでした。途中で美しくも壮大な規模のモスク横を通過して驚愕、こんな良いモスクなんで今まで知らなかったの?
GoogleMapをもとに調べてみるとMasjid Wilayah Persekutuan (マスジット・ウィヤーラ・ペルセクトゥアン) と判明。
ウィヤーラ~は地名かと思ったらマレー語で領地と連邦を意味する言葉でした。
どおりでGoogleMapに連邦直轄領モスクなどという?な訳がのっていたはずです。
モスクとマスジットの違いは何?
単純にモスク(Mosque)は英語、マスジット(Masjid)はアラビア語の表現です。
モスクはスペイン語のメスキータ(Mezquita)が変化した言葉ですが、Mezquita は Masjidが語源なのでみんな仲間ですね。
このコンテンツでは文中は日本人になじみの深いモスクで統一します。トルコ語だとジャーミィ(Camii)と呼ばれますが、これもアラビア語が起源です。
プトラジャヤ線(今日まで無料)、GOKL(無料)で行きます
2023年3/31、マスジット・ウィヤーラ・ペルセクトゥアンに行くため、プトラジャヤ線に乗ってJinjang駅まで行きました。駅からGOKL/MAGENTAでモントキアラへ。
このモスクはKL市内にあるにもかかわらずガイドブックにも記載がなく、簡単にアクセスできるLRT等も無いので、あまり知られてないモスクです。行った人の体験記はネット上にいくつかありました。
バスは出発すると隣のKepong Baru 駅、KTMのSegambut 駅を経由して30分ほどでMasjid Wilayahバス停に着きます。でも、GOKLでありがちですが、乗ったバスはバス停の表示やアナウンスが無く、ドライバーにも目的地がうまく伝わらず、1つ後ろのバス停で降りることになっちゃいました。
位置的にはモンテキアラのモール Publika の隣になります。
1つ後ろのバス停もモスクの横なので、すぐゲートDに行けました。でも外国人はゲートBに行くよう指示されます。
ガイド付き内部見学ツァーです
外国人の参拝者はまず服装のチェック。特に女性は頭髪、体を覆う服装(ヒジャブ・Hijab)を求められますので、基準を満たさない場合は服・スカーフを貸してくれます。男性も短パンなど露出が多い場合は適切な服を貸してくれます。モスク内は裸足が原則なので、靴もここで預けました。
別室でボランティアのガイドさんに会いイスラム教について簡単にレクチャーを受けたあと内部見学です。時間があまり無い場合はそれに応じて調整してくれます。
日本語のガイドもいる場合があるようですが、基本英語です。まあ、こちらのレベルに応じて、ゆっくり丁寧に話してくれました。
内部はカリグラフィー(聖典コーラン/クルアーンの字句を装飾アラビア文字で描いたもの)、植物模様、幾何学模様で飾られます。
イスラム教の唯一神アッラーは姿かたちは無いものとされ、神の絵・像などの偶像崇拝は禁止。この関係でモスクの装飾も文字や抽象的な模様となります。
2000年に建立されたマスジット・ウィヤーラの特徴は、トルコ、インド、イラン、モロッコなどのイスラム諸国、そしてマレーシアの様々なモスクの様式を取り入れていること。
トラタロウはイスラム教国好きで20ヶ国近く訪れていますが、説明されると「そう言われると見たような」と思い出がよみがえる(ような気にはなりました)。
昔はモスクのミナレット(尖塔)からアザーンが唱えられました。絶対的なものではありませんが、ミナレットの数がモスクの格式を表す場合があります。
前国王様の写真がありました。前国王といっても亡くなられているとはかぎりません。
マレーシアは王様がいますが、9つの州にいる地方君主のなかから5年任期で選出(実際には輪番制みたい)されます。
現国王は第16代で2019年に選出されました。初代国王はトゥアンク・アブドゥル・ラーマン陛下ですが、すべてのリンギット紙幣に印刷されているあの方です。
ガイドのお二人(左右)。トラタロウ一行2人に2人もガイドついてくれました。
男性はメッカ(マッカ)巡礼も経験された信仰と学識深い方で、いろいろな質問に答えていただきました。
女性ガイドも若いながら英語を使いこなし、いろいろ教えてくれました。
※写真はブログ掲載の許可をいただき、顔出しもOKとのことです。
ちなみに一番聞きたかった質問がこれ
Q、クルアーンをアラビア語で読めたら、アラビア語スピーカー(例えばサウジアラビア人)と会話はできるのか?
イスラム教がすごいのが聖典クルアーン(コーラン)はアラビア語で書かれており、いかなる国のムスリム(イスラム教徒)もこれをアラビア語で読まなければならないところ。なぜならばアラビア語が神の言葉で、翻訳して読むのは不可だからです。
これは宗教を広めるうえではすごいハンデですよね。昔はアラビア語なんてアラビア半島周辺だけのマイナー言語だったはず。
するとイスラム教徒ならアラビア語が読めるので、アラビア語が全ムスリムの共通語として使えるのか?これが可能ならすごい事ですね。
しかし答えとしては
A、看板や文章はある程度読める場合があるが、会話は難しいとのこと。
やはりそうでしょうね。クルアーンのアラビア語って1400年前の古語ですもの。
日本だと『古事記』の時代です。古事記は勉強すれば読めるでしょうが、古事記の日本語で現代日本人と会話が通じるとは思えません。
※ 言語は変化していく物なので、現在はアラビア語と言っても数十もの方言があり、へたすれば他の地域では全然通じない物もあるようです。意外に通用範囲が広いのがエジプト方言。なぜならTV番組が大量に作られ周辺アラビア語諸国に輸出されているからだとか。メディアの力はすごいな。
イスラム教を知るための日本語のパンフも各種もらえます。やがてイスラム教徒が宗教別人口では最大になると予測される今、イスラム教について知ることは色々な意味で重要でしょう。
帰ろうとすると大勢のムスリムが礼拝のためモスクに入っていきます。ラマダン月で金曜日となると一番礼拝者が集まるタイミングですね。でも周辺道路は無断駐車の車であふれんばかりでいいのか。いやいや、礼拝の方が大事です。
おまけ画像
マスジット・ウィヤーラ・ペルセクトゥアンがプトラジャヤ線の車内からも見えることに気づきました。Kampung Batu 駅とSri Delima 駅の間で南側にちょっとだけみえます。白いドームの裁判所?の右後方の2本のミナレットと青い丸天井です。
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