インド人の多くが信仰するヒンドゥー教。その大きな祭りのひとつがヒンドゥー教暦10番目の月(Thai)の新月に行われるタイプーサム。2024年は1月25日に開催されました。
ムルガン神(スカンダ神)をたたえる祭りですが、祭りの前々夜、クアラルンプールのチャイナタウン西側にあるスリ・マハ・マリアマン寺院からムルガン神のご神体が山車(だし)に乗せられ、北方の聖地バトゥ・ケーヴにある寺院に向かいます。山車の後ろから数万人もの信者が続く巡礼の様子を見に行ってきました。
※ ご神体を乗せる車輛は英語で Chariot と表記されていましたが、「戦車」では趣旨が違うので、本稿では「山車」と表記します。
スリ・マハ・マリアマン寺院前に全員集合
1月になるとクアラルンプールにあるインド人居住区各所に変化が訪れます。
マレーシア人口の7%を占めるインド人の多くがヒンドゥー教徒。特に南部タミルナードゥ州からの移民子孫が多く、同地で特に崇拝されるムルガン神が大人気。
黄色い服はムルガン神をたたえる祭りタイプーサムの巡礼服であり、孔雀はムルガン神を象徴する鳥なのです。
ムルガン神はシヴァ神と妃パールバティ神との子供で、兄は象神ガネーシャという神様一族のエリートですね。仏教では韋駄天という名で守護神として取りこまれました。
ムルガン神は赤ちゃん、少年、青年などの姿で描かれますが識別は簡単。悪神を討つため与えられたスペード型の槍を持ち、孔雀を侍らせるのがお約束。
当日8時過ぎにスリ・マハ・マリアマン寺院に向かいました。山車パレードと巡礼が通る道沿いにはテントが建てられ、巡礼にふるまう飲食物が用意されています。
寺院近くではテントが建ち巡礼に食事がふるまわれていました。
9時過ぎにドラムの音と共にご神体が寺院から現れました。
準備が整うと山車がシズシズと動き出し、信者が続きます。前年は牽引車が山車を引っ張る形でしたが、今年は後ろから押すようです。
バトゥ・ケーヴまで十数キロの道を往きます。
スリ・マハ・マリアマン寺院は女神マリアマンの寺院です。なぜムルガン神がここから出発するかの考察はこちらをご覧ください。
新装公開スリ・マハ・マリアマン寺院に行ってみた に移動します
数万人の巡礼行列です
タイプーサムには100万人とも言われるインド人が参加するとか。どおりで最近インド人の乗った観光バスが目立つはずだ。
チャイナタウンを出た巡礼行列は小さなインド人街を通過します。沿道では巡礼をねぎらうため、ふるまいの飲食物が提供されていました。
ふるまい品は個人・商店・企業などが用意しているようです。渡すと功徳でもあるのか、路上にまで出て配っていました。どう見ても異教徒であるトラタロウにもどんどんくれますのでお相伴にあずかりました。
懐かしい容器に出会いました。木の葉で作られたお皿で、インドでよく使われています。ヒンドゥー教は他者からの穢れを嫌うので、食器も共用しない使い捨てが良いとされるからです。
インド人が手で食べるのも他者の穢れをさけるため。スプーンなんて誰が使ったわかりませんので、自分の手で食べるのが一番安全なのです。。
巡礼行列の夜は更ける
もう一幕ありました
1/25(木)にタイプーサムが開催されました。その様子は後日公開します。
1/27(土)朝5時前に大音響で起こされました。外に出るとご神体を乗せた山車がバトゥ・ケーヴから戻るところでした。往路に比べれば極小ですが、熱心な信者がつき従います。
2024年のタイプーサムも無事終了です。また来年も見てみたいです。
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