マレーシアが移住先に選ばれる理由のひとつとして医療レベルの高さがあります。でもどんなに優れた医療設備があり、優秀なドクターがいても症状や希望を伝えるのは我々です。英語能力が高く医学用語もある程度知っている人はともかく、トラタロウの英語能力ではいささか心もとない。
そんな心配を解消できるクリニックと日本語で医療相談のできるカウンターできたので、見学に行ってみました。
医療関係は母国語にかぎります
マレーシアに来て1年5ヶ月、幸い歯科以外の病院に行くことはありませんでした。歯科なら診察してもらえば分かるから、英語ができなくても大丈夫なはず。でも、「extract」と言われて、これ「抜く」だよね、歯の詰め物取れただけなのになぜ抜くの???という状態になります。
トラタロウの英語力では事情が分からず撤退。別の歯科に行ったら普通に詰めてもらえました。歯科といえども英語力無いと難しいな。
※ 詳しくは 初めて海外の歯科クリニックに行ってみた、衝撃の診断が…
トラタロウの若いころ深田祐介という作家(一番有名な作品はドラマ化された『スチュワーデス物語』かな)が活躍していました。
日本航空に務めるサラリーマン作家で、『新西洋事情』など比較文化論的エッセイも書かれています。
その中で海外駐在員の奥さんが妊娠したので病院に行ったら、コミュニケーションがうまくいかず中絶されてしまった、というエピソードがありました。
こんなことになったら大変。医療関係は日本語でコミュニケーションしたいものです。
これに関してはさすが大都市クアラルンプールで、いくつもの病院が日本語OKです。
※ 日本語の使える病院・クリニック特集7選【2023年最新】 に移動します
5/1 から開院する「ことびあクリニック」もそんな病院のひとつ。
※ 厳密にいえば病院(hospital)と診療所(clinic)は違います(日本では病床数20が基準)が、日本人はそんなに厳密に使い分けしていないのでトラタロウもそれでいきます。
ことびあクリニックはどんな診療所
「ことびあクリニック」はシンガポールに本社を置き、シンガポール、タイ(バンコク)、フィリピン(セブ)、東京(恵比寿)に診療所を展開しています。
5/1(水)からクアラルンプールのモントキアラに新クリニックを開院します。事前に内覧会があったので見学に行きました。
「ことびあクリニック」には医療通訳ができる日本人スタッフが常駐しており、予約、受付、問診、診察、支払いなどすべて日本語でOKです。
※ 日本の国民健康保険の請求もサポートしてくださるそうです。
ことびあクリニックへの行き方は
「ことびあクリニック」のあるモントキアラはKL中心部から少し離れた所にありますが、多くのモールが作られ高級感ある住宅地になっています。企業の駐在員さん家族にも人気で、日本人が多く住む場所のひとつ。
ちなみに Mont はラテン語を起源とする言葉でフランス語では「山」を意味します。モンブラン、モンサンミッシェルなどのモンですね。アメリカのバーモント州は最初はフランスの植民地で「緑の山」を意味します。
モントキアラのあたりはブキキアラと呼ばれた地域の一部でした。Bukit はマレー語で「丘」、ブキビンタンのブキです。
「ことびあクリニック」はモントキアラのモールのひとつ プラザモントキアラ にあります。あまり公共交通機関の便は良くなく、トラタロウは自転車で行きました。途中で美しい 連邦直轄領モスクやイスタナ・ネガラ(国立王宮)の横を通過します。
※ 連邦直轄領モスクは無料・ガイド付きで見学できるオススメのモスク
KLの知られざる名モスク、マスジット・ウィラーヤに行ってみた に移動します
※ イスタナ・ネガラは王様が住まわれているので内部は見学できません
「ことびあクリニック」はモールのひとつプラザモントキアラ(向かいには1モントキアラがあります)のGフロアーです。
年中無休で診察時間は9:00~17:00 (12:30~13:30は昼休み)だそうです。
クリニックの内部です
クリニック内部は小さいです。受付、診療室、処置室とありますが、総面積は家族向けマンションより狭いですね。でも完全予約制なので広い必要はないのかな。
日本の医療状況しか知らないと???な事がありました。小さな診療所でドクターも2人体制なのに可能な診療科が9つもある。
これはマレーシアでは一般的な総合診療科というやり方だそうです。
総合診療科のドクターが診察をしますが、軽度な症状で診療所で処置できる内容なら薬品処方までしてしまいます。重い症状や診療所では処置が難しい場合は専門医院を紹介する仕組みです。
まあ、多くの場合は診療所の処置・処方で、快方に向かうことが多いと思うので合理的な仕組み。イギリスのホームドクター制に似ていますが、旧宗主国なので影響を与えていて当然ですね。
これは役立つかもオンライン診療
KL在住者は様々な医療機関の選択ができますが、マレーシアでも地域によっては日本語が通じる病院など皆無という場所もあるでしょう。その場合「ことびあクリニック」のオンライン診療は心強い存在になりそうです。
薬のデリバリーもマレーシア全土で可能だそうです。
モントキアラの「ことびあクリニック」は総合診療科なので「広く浅く」という感じ。もっと高度な医療が必要な場合は、専門病院に行くしかありませんが、その場合は「ことびあカウンター」が役に立ちそうでした。
ことびあカウンターにも行ってみた
「ことびあクリニック」と「ことびあカウンター」は何が違うの? 両方とも来院する日本人に対して日本語による医療関係サポート、医療通訳を行うことは共通です。
違うのは「ことびあクリニック」は直営診療所・総合診療科ですが、「ことびあカウンター」には直営病院はなく、現地総合病院の内部に設けられ、より専門的かつ高度な医療へのサポートを担当しています。
「ことびあカウンター」はモントキアラの北西、車で十数分で行けるデサパークシティ(Desa ParkCity)にあるParkCity Medical Centreに今年2月から設置されました。
紹介をいただいてこちらも見学してみました。
デサパークシティも公共交通機関の便はあまりよくありません。KTMのKepong駅かプトラジャヤ線のSri Damansara Timur駅まで行って、グラブかタクシーですね。この場合「ことびあカウンター」では通じないのでParkCity Medical Centreに行ってもらいましょう。マレー語名はPusat(中心)Perubatan(医療)ParkCityです。
トラタロウは自転車ですが、約12Km、1時間15分ほどかかりました。
営業は月曜~金曜(祝祭日を除く)
8:30~17:30 です。
基本2名の日本人スタッフ + マレーシア人 従業員が対応してくれます。
診療はパークシティ・メディカルセンターの専門医が行い、「ことびあカウンター」のスタッフが医療通訳につくのです。
パークシティ・メディカルセンターを見学してみた
パークシティ・メディカルセンターはデサパークシティにあり、病床数300を誇るマレーシアでも有数の高度医療施設です。
ホームページを見ると文化の異なる外国人患者の受け入れも考慮したケアを心がけているとか。
※ パークシティ・メディカルセンターのHP に移動します
※ YouTube にも紹介があり、歯科以外全部あると言っています。全部って何があるのだろう。好奇心のおもむくままにチェックしたら「小児科、産婦人科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、内分泌科、血液内科、泌尿器科、腎内科、整形外科、一般外科、一般内科、大腸専門クリニック、放射線科、脳内科、脳外科、乳腺外科、精神科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、リューマチ科、リハビリ科」でした。
※ チャイルド・ディビロップメント・センターを設け発達障害、コミュニケーション障害などのケアにも力を入れているそうです。
乳がんの治療やその後のケアなどで定評のある医療科。マレーシアで功績大なる者に授与されるDatoという称号を持つ名医がいらっしゃるとか。
マレーシアの称号
政治家などの名前にDATUKなど名前以外の文字がついていることがあります。
昔は王朝で今も国王(アゴン)や地方君主(スルタン)が影響力を持つのがマレーシア社会。アゴン、スルタン、州などから授与される称号は、なかなか権威があるものらしい。
※ 称号については
マレーシアで称号は重要なんです に詳しい
「ことびあクリニック」 と 「ことびあカウンター」(パークシティ・メディカルセンター)、病状や必要性に応じて使い分けできるかな。
誰も通院・入院などしたくありませんが、そうせざるを得ない状況が来ることもあります。それに備えてマレーシアの医療状況は知っておきたいですね。
おまけ
パークシティ・メディカルセンターの病室にはVIPスイートを超えるVVIPスイート(もうひとつのVは何かな)があるそうです。HPに費用が載っていたので見てみたら1688リンギッ(1泊の料金だよね)でした。1リンギッ=¥31として¥52328。
トラタロウの住むマンションの家賃より高かった(笑)。
まあ、良いサービスにはそれなりの費用がかかります。
ParkCity Medical Centre Room Rates に移動します
コメント