クアラルンプール中心部のすぐ北側にあるチョーキット市場は、70年近くの歴史を持つKLの台所。野外市場ではありませんが、狭い通路の両側に店舗が軒を連ね、売り声が響くさまはまさにマレーシアのカオス(混沌・ゴチャゴチャした様子)を象徴する場所。市場というだけではなく、その独特の雰囲気から観光地にもなっています。
ところが隣に近代的ビルの建物が完成し、ほどなく店舗は新市場に移転の予定。昔ながらの雰囲気が残っているうちにチョーキット市場に行ってみました。
チョーキット市場のあれこれです
チョーキットの始まりは
チョーキット市場は1953年に建設承認、1955年に建てられたクアラルンプール市運営の総合市場です。20世紀初頭の実業家ローク・チョーキットの名がつけられました。
KL最大の生鮮食品市場でマレー系住民が主体です。
昔はKLで治安の悪い場所の一つにも挙げられました。でも今はトラタロウの知る限りは問題ありません。※基本早朝~夕方にしか行ったことが無いので、夜の治安は分かりませんけど。
下はトラタロウの撮影した中で最古(1994年1月)のチョーキット市場画像。まあ現在とあまり変わっていません。逆に言うと昔の雰囲気が残っている場所なのです。
大きく変化しているのは価格。フルーツ価格は時期・品質によって変わりますが、画像に見られるスイカ、ランブータン、ロンガンなどの価格は現在の半値以下。ちなみに1リンギットは約42円でした。
当時の物価を旅行日記からひろってみると「麺類」(RM2~3)、「菓子パン」(RM1前後)「タクシー市内近距離」(RM2~4)、「ナシ・チャンプル」(RM3~4)、「国立博物館」(RM1)、「国立動物園」(RM5)。やはり現在は3倍くらいになってますね。
チョーキットへの行き方は
チョーキット市場はその独特な雰囲気のためKL自転車ツァーなどのコースにも入っています。それを可能にするのはKL中心部からのアクセスの良さ。
マスジット・ジャメから徒歩30分で行けますし、公共交通機関の便も複数あります。
・モノレール…Chow Kit 駅から南に徒歩3分、ヒルトンの横を左折するとすぐ。
・市内鉄道…スリ・ペタリン線、アンパン線でPWTC駅で降り、Jalan Putra を東に進むとモノレール駅とヒルトンの間に出ます、徒歩10分。
・GOKL…赤・青ラインがモノレール駅西側に停まります、徒歩5分。
市場のありさまです
チョーキット市場の入り口は2か所。北口はフルーツ売り場になりますが、ちょっと分かりにくいかも。南口は魚・肉売り場でヒルトンがランドマークになるため分かりやすい。
南口から東に延びる道路 Jalan Chow Kit には路上市場が出ています。
市場は未明からにぎわっています。早朝は飲食店が仕入れに来るのです。昼過ぎから閉まる店舗が増えてきますが、路上市場はやっています。夕刻~夜も南口前に生鮮食品屋台がでますので、朝から晩まで買い物が可能。
チョーキット市場の特徴のひとつが、国旗が数多く掲げられていること。これはマレー系住民中心の市場であるためでしょう。同じマレーシア人でも華人系やインド人系の市場ではあまり国旗を見ません。
市場周辺にも多くの店がありますが、みんな新市場に行くのかな?
チョーキット市場部門別紹介
チョーキット市場の中心は食肉、魚介、野菜、フルーツの4部門に大雑把に分かれています。南口右(食肉)、南口左(魚介)、中央(野菜)、北口(フルーツ)という配置。
それぞれこんな感じです。
① 食肉売り場
マレーシアはイスラム教国。スーパーなどで豚肉はあっても売り場は隔離されています。プドゥ、ケポンバルなど華人中心の市場では堂々と売られていますが。
チョーキット市場はイスラム教徒がほとんどのマレー系住民中心ですので豚肉はゼロ。
鶏、牛、羊が扱われています。同じ理由で酒類も一切ありません。
鶏は基本的に1羽売り。マレーシアに来て出来るようになったのが丸鶏の解体でした。お望みなら生きた鶏も買えますが、屠鶏・羽根抜きからやるのはハードル高いですね。
砂肝、キンカン、レバー、ハツなどの内臓もありすごく安いのです。
② 魚介売り場
三方を海に囲まれたマレーシアは魚介(イカン)も豊富。チョーキット市場にも多くの魚介があふれています。ただちょっと使いづらい状況も。
① けっこう高い。エビが高いのは納得だが魚も肉より高い物が多い(値段は1キロ当たりの単価で量り売り)。安い魚もあるが不味かった。
② 熱帯の魚よくわからない。アジ、サバ、マグロ系しか味の見当がつかない。
➂ 基本的に1匹丸ごとそのまま売られます。日本のように魚をウロコが引いてあって、内臓も抜かれているなんてありえない。さすがに大型魚は切られてますが、ぶった切ってあるだけ。要するに自分で捌けない人は買っても料理できません。
※ トラタロウはコロナで海外旅行に行けない間釣りにはまりまして、魚も捌けるようになりました(一番釣ったのがウナギ、捌けます、履歴書特技欄に書けるかな)。
自分で捌き頭・内臓・骨を除くと可食部はかなり減ることに気づきます。特に小型魚だと可食部は半分しかありません。市場の値段は頭・内臓・骨も含んでいるので可食部はけっこう高くなるのです。
赤貝などの貝類もありますが、あまり美味しい物がありません。プドゥ市場では何度かアサリを発見して即買い。残念ながらチョーキット市場では見たことがありません。
➂ 野菜売り場
ここも熱帯野菜の知識が無いと活用が難しい場所。巨大さや豆、バナナの花、多種多様なハーブ類はどう使うのだ? まあ、日本でなじみの野菜もありますが。
次の画像は30年前のチョーキット野菜売り場ですが、全然変わっていませんね。
ワラビのようなシダ類パク・パキスは以前食べてみました。詳しくはこちらをどうぞ。
※ 市場で見つけたマレーシアわらび?を食べてみた に移動します。
④ フルーツ売り場
ここが一番楽しいかもフルーツ売り場です。観光客だとさすがに肉や野菜は買えないがフルーツならOK。量り売りが中心なので、少量でも買うことが可能です。
チョーキットのフルーツ売り場はKLでも最大規模を誇り、種類豊富で値段も一番安いと思います。
新市場への移転はいつ?
総工費1億770万リンギッ(邦貨換算55億円くらい)かけたという新市場ビルディングは旧市場の隣にすでに竣工済み。一部の店舗は移転しています。
ただ同じKL市役所運営ですが、賃貸料が大幅アップで不満が出ている様子。マレーシアのことですから全店舗一斉移転とはならないかも。
遅かれ早かれ新市場への移転は進んでいくことでしょう。これでクアラルンプール中心部に残る、大規模かつ昔ながらの雰囲気を残す市場はプドゥだけになってしまいました。
新しく便利になるのは良いことでしょうが、ローカル市場愛好者としては、ちょっとさみしいのでありました。
※ 2024年8/10 チョーキット市場に行ってきましたが、移転はほとんど進んでいない様子。このへんの緩やかさがマレーシアらしい。
※ 日本から来た友人ご一家を案内した時は「KLディープ・コース」としてチョーキット近辺、市場、カンポンバルをセットで紹介しました。でも市場が近代化してしまうと紹介するか微妙になるかも。
友人ご一家が来たのでKLを案内してみた②LOCAL・POINT編 に移動します
※ 2024、11/11 チョーキット市場の状況
この記事をアップしてから半年がたちました。肉・魚売り場の西側一角が取り壊され、一部店舗が新市場に移転したようです。でも多くの店舗は以前と同じで、賃貸料問題が解決していないのかな?
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