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タイに行ったのでマレーシアと比べてみた

タイの路上でよく見かけるのがお坊さんと犬

 2025年1月に3週間ほどタイに行ってきました。トランジットなどの空き時間を利用したちょこっと観光を除くとタイ旅行は4回目(1回目は1993年)になります。
 マレーシアとタイは陸路からも行ける隣り同士の国ですが相違点がかなり多いです。両国のあれこれを比べてみました。

※ タイの旅行記はこちらをご覧ください
  海外旅行記NO65 タイ東北部・ラオス南部 ①コラート編 に移動します
※ タイのB級グルメ情報はこちらをご覧ください
  世界のB級グルメ/22 屋台・ローカル食堂飯 in タイ に移動します

目次

両国の基本データです

地図1
マレーシアは半島部とボルネオ北部に分かれます

 マレーシア()とタイ()は同じ東南アジアの国で、マレー半島中ほどで国境を接しています。
・国土面積は馬国33万㎡(日本の0.87倍):泰国51万㎡(日本の1.4倍)。
・人口は馬国3300万人泰国6600万人
・1人あたりのGDPは馬国13034米$泰国7297米$(日本は33849米$)。
 物価はトラタロウの感覚では、ほぼ同じかタイの方が少し高く感じました。まあ、マレーシアは住んでいるため安い物を選びやすい、という面もあります。

※ タイのガソリン価格はリッターあたり¥160ぐらいでした。マレーシアは産油国であり、国からの補助があるため¥70くらい。このためバス・電車などはマレーシアの方が安いですね。

いろいろ比べてみました

比較① 出生率(合計特殊出生率)

 いきなり難し気な用語ですが、女性が生涯に出産する子供の数の推計2.10 ないと人口の維持はできなくなります。ちなみに現在の日本は1.20 でこのままだと日本人は絶滅、1.0 を切っている韓国はもっと早いな。

人口1
人口ピラミッド

 東南アジアは子供が多いというイメージですが、タイの人口を調べていると衝撃の数字を発見。タイの出生率は 1.32 少子高齢化に突入していました。人口ピラミッドで言うと多産多死の富士山型から経済・医療の発展で多産少死のつりがね型となり、生活水準を維持するため子供をあまり作らないつぼ型に突入という状況ですね。

人口2
日本はこれ

 ちなみに日本は高齢者は長生きするが、子供は少ない逆富士山型
 そしてマレーシアも 1.79 と少子化の傾向に入ってきています。以前日本から来た友人が「マレーシアは若者が多いね」と驚いていましたが、将来は怪しい雲行き。
 そのためかマレーシアは労働力不足で、200万人以上の外国人労働者が働いています。不法労働もかなりあるので実際はもっと多いとか。ただでさえ多民族のマレーシアがもっとカオス(混沌とした状態)になっています。

※ マレーシアの警備員はほぼネパール人
 マレーシアの商業施設・銀行・ホテルには警備員(セキュリティ)がいますがほぼネパール人。これはネパールがイギリス支配時代にイギリス軍に傭兵を出していたなごりでしょう。特にククリナイフで知られるグルカ族傭兵は、その勇猛果敢さと忠誠心の厚さで知られていました。
 グルカ族は英軍の傭兵雇用が減ると香港などで警備員として採用され、香港返還後は旧大英帝国植民地だった国々で警備員としての需要がありました。現在マレーシアで警備員として働くネパール人のすべてがグルカ族ではありませんが、ネパール人=信頼できるという図式があるのでしょう。

比較② 時差

 マレーシアとタイの間には1時間の時差があります。日本から見ると
日本が正午の時:タイは午前10時
   々   :マレーシアは午前11時
となります。でも両国の位置関係を見るとボルネオ北部を除くとほぼ同じ経度にあるので時差なんて無いのが普通。
 調べると別の地域であった半島部、ボルネオ北部、シンガポールが独立時に時間をボルネオ北部に合わせたらしい。

アメリカ
アメリカは大陸部に時差4つ

 シンガポールはその後脱退しましたが、時差は同じにしています。感覚的にはマレーシア・シンガポールの時差設定だと朝7時でも暗いので違和感がありますね。
 アメリカに行ってレンタカーでサウスダコタ州を走っていたら、同じ州内で時差があるので面くらいました。まあいろいろあるものです。

比較➂ 民族構成

 タイもいろいろな民族がいますがタイ族85%華人10%が中心で、あとはクメール族、モン族などの少数民族。
 タイ族の起源は諸説ありますが、中国の華南から移住してきたとも言われています。そのため外見的にも中国人と同じではないが、かなり似ていると思います。

タイ人
タイ族の子供
マレー系
マレー系の子供

 マレーシアはマレー系(65%)華人系(23%)インド系(7%)の3大民族と先住民の少数民族。
 マレー系と先住民は区別が難しいですが、3大民族は外見も違いますし、宗教・言語・食生活などの文化もかなり違います。
 このためマレーシアは多様な文化が楽しめる場所。特に食生活が多様で選択肢が多いのが良いですね。

比較④ 華人

 東南アジアに華人(中国系)のいない国はありませんが、タイ華人は人口の10%と言われています。広東省の華僑の故郷と呼ばれる潮州系の華人が大多数を占めるとか。
 他の国と違うのが、かなりタイ族との同化・混血が進んでいるところ。外見では区別できないし、タイ語しかしゃべれない人も増えているらしい。すると「自分は華人である」という意識があるかどうかの問題ですね。
 

チャイナタウン1
バンコクの中華街は漢字少な目
チャイナタウン2
KLの中華街プタリン街

 マレーシアの華人は人口の23%を占めているが、都市部に多いためクアラルンプールでは43.2%とかなりいます。
 小中学校も華人学校に行かせるのが普通のため民族のアイデンティティは保持している様子。ただ言語は広東語北京語福建語客家語と多岐にわたります。教育レベルの高い人だと相互にかなり理解できると聞くのですごいな。

比較⑤ 言語と文字

 公用語はマレー語です。学校でも必修科目のため全マレーシア人が使えるはず。文法・発音もそんなに難しくはなさそう。一番ありがたいのはアルファベット化されていること。
 でも一番使われているのは英語ですね。旧大英帝国の植民地だったこともあり、その英語力はアジアで3位、世界でも30位(EFEPI)という評価があります。英語でなんとかなるのでマレー語学習がおろそかになるのが在住外国人のあるある。

マレー語
読めるので部分的な単語の知識で推定可能

※ 日本人の100%知っているマレー語が 「オランウータン」で「森の人」を意味します。
  日本人は「オラン(人)ジュプン(日本)」、マレー語は装飾される言葉が前にきます

 タイはタイ族が主流なのでタイ語が公用語。これが外国人泣かせの言語です。
①文字が独特…クメール文字から派生した由緒正しき文字ですが72語もあります。
②発音・イントネーションが独特で、へたをすると地名すら理解してもらえません。
 一部の観光地以外では英語も通じないのでサバイバルタイ語が必要です。
でも「マイペンライ」(なんとかなるさ)
翻訳アプリもあるしね。

タイ語
勉強しないと一文字も読めません

※ EFEPI という英語力評定でタイは113ヶ国中101位。ちなみに日本は92位です。まあ、単一の言語しか使わない国ではこんなものでしょう。「必要は語学力の母」です。

比較⑥ 宗教

 民族が多ければ宗教も多くなります。マレーシアはマレー系(イスラム教)華人系(仏教・道教)インド系(ヒンドゥー教)と分かれていますが、イスラム教が国教であり64%と多数派。
 社会規範もイスラム教の考え方に基づくものが多く、他宗教の信者もある程度それを尊重する必要があります。
 例えば「いかがわしい行動禁止」の表示があったりしますが、「人前でイチャつくな」というイスラム的価値観でした。

イスラム教1
これはイスラム教の考え方

 ムスリム(イスラム教徒)が多い繁華街だと時々モラル警察(宗教警察)が取り締まりをしています。非ムスリムでもあまり目に余る行動をとると逮捕です。

僧侶
僧侶に勤行してもらう信徒

 タイは国民の94%が仏教徒。上座部仏教という個人の修行を重視する宗派です。男子は「一生に一度は出家をして修行」をするのが良しとされ、周囲もそれをサポートすることで功徳を積むことができます。街中で僧侶をよく見かけるのはこのためです。
 僧侶の修行の邪魔、特に女性が接触することは重大なタブーですので気をつけましょう。

 意図した訳ではありませんが、ここ最近の旅行はベトナム、スリランカ、タイとすべて仏教国でした。すると共通するのが野良犬が多いこと。仏教では特に犬を大事にしていませんが、「すべての生き物は仲間」的な考えがあるため野良犬にも寛容なのでしょう。
 イスラム教は「犬は不浄な存在」としているので、ムスリムの多いマレー系の居住地では飼い犬も野良犬も見ません。その代わり猫が好きです。

野良犬
フリーダムなタイの野良犬

比較⑦ 食物

 マレーシアは実はグルメ大国。マレー、中華、インドの三大料理の他にマレー・中国を融合したニョニャ料理、インドムスリム系のママッ料理などの派生料理もありバラエティー豊富。また朝から晩までいたる所に屋台が出没しB級グルメを楽しめます。
 問題はかなり辛いです。トラタロウは慣れてしまいそんなに感じませんが、苦手な人には相当辛いみたい。

調味料
見るからに辛そうな調味料
パクチー
何も言わなければパクチーどっさり

 タイ料理も辛くて有名ですが、辛くない料理の方が多いし、作る時に辛さを指定することもできます。
 苦手だともっと地獄なのが、コリアンダーの葉であるパクチー。言わなければドサッと入れられますので注意。
 パクチーはマレーシアでもクタムバル( ketumbarという名で使われますが、注意を要するほどは出てきません。

比較⑧ 肥満率

 マレーシアはご飯美味しいのですが太ります。特にマレー料理はけっこう油を使うし、1人前の盛りが多いため。現在成人の50%が過体重か肥満というのもうなづけます。
 特にマレー系の人は甘い飲料が好きなこともあって太り気味。華人は健康意識が高い人が多く、朝運動をしている人が多いので大丈夫かな。ちなみに日本の過体重・肥満の率は24%だそうです。

大盛
かなり盛りが多いお気に入りの店
盛りは軽め
タイ料理の盛りは少な目

 タイでちょっと物足りなく感じるのが、ご飯の盛りがマレーシアの7~8割ぐらいなこと。慣れるとこれくらいでOKになってきますけど。
 この盛りなら太る人はいない、と思っていたら過去20年で肥満率は3倍になっているとか。どうも盛りは軽めだが、食べる回数が増えて過体重・肥満の率は現在32%。やはり経済的に豊かになると太るのが人の性(さが)なのか。

比較⑨ 在住日本人

 タイには7.2万人もの日本人が住んでいます。特にバンコクにはロスアンゼルスに次いで2番目に多い5万人が在住。これは届け出のある人数だけなので実際はもっと多いとか。
 日本食もかなり普及しており2023年のデータでは日本食レストランは5330軒。特に「かつ丼」とかは現地食化しているような感じでした。
※ 日本食レストランが多い国は上から中国、アメリカ、韓国、台湾と納得ですが5位がメキシコというのが不思議。
 

カノムとーき
真ん中の5文字がトーキョーです

 今回のタイ旅行ではタイのお菓子をテーマのひとつにしていました。すると「カノム・トーキョー」というお菓子を発見。カノムはお菓子、トーキョーは東京です。小ぶりなクレープ的なお菓子ですが「東京」の要素はゼロ。トーキョーと言うとカッコイイのかな?

たこ焼き
TAKOYAKIが普及していますマレーシア

 住みたい国ランキングで10年以上1位になっているマレーシアですが、日本人在住者は2万人(KLに1万人)と意外に少ない。
 ただ日本食レストランは1890軒と急増。イオンビック業スーもあって日本食品の入手はバンコク以上に楽かもしれません(価格は別として)。
 ただMM2Hの条件が厳しくなったので在住者数はどうなるのかな。

 マレーシアで寿司に次いで普及している日本食がたこ焼き?。トラタロウが2回目にKLを訪れた1993年にSOGOで売られていました。その後訪馬するたびに見かける回数が増え、現在はかなり見ます。ただマレーシア人の好みなのか、揚げたこ焼き的でタコも入っていません。タコは世界的に高騰しているしね。

比較⑩ 王様

 日本・タイ・マレーシアの共通点はいろいろありますが、ひとつは君主を戴いていること。日本と違いタイではいたる所に王様の写真があります。マレーシアもタイほどではありませんが写真が飾られています。

タイ王
タイのワチラロンコン国王
マレー王
マレーシアのイブラヒム国王

 タイの現在の王室は1782年に始まるチャクリー朝で、前国王プミポン陛下は民主化に尽力した国王として大変尊敬されていました。
 タイでは朝8時と夕方6時になると街頭に国歌が流れ、原則直立不動で国王に敬意を表す習慣があります。
 また紙幣の肖像は現国王(裏面はかつての有名な王様)であり、お札を粗末にすると不敬罪になるとか。

紙幣1
2019年新国王即位で紙幣が変更された
紙幣2
マレーシア紙幣の肖像はすべて初代国王
トゥアンク・アブダル・ラーマン陛下

 マレーシアの紙幣肖像は現国王ではなく初代国王ですが、これはマレーシアの特殊な王制の為でしょう。
 マレーシア13州のうち9州にスルタン(地方君主)がおられ、5年ごとに互選(実際には輪番制)でスルタンの中からマレーシア全体の国王(アゴン)が選ばれるのです。
 現国王イブラヒム陛下はジョホール州から2024年に即位されました。5年ごとに全紙幣の更新なんて現実的ではありませんね。

比較⑪ 交通マナー

 日本・マレーシア・タイでは郵便ポストは赤車は左側通行。これはいずれもイギリスの影響です。そしてどこの影響でこうなったのか、マレーシアもタイも交通マナーは最低クラス。具体的には歩行者保護が不十分。
 マレー人もタイ人も普段は温和な国民性ですが、「ハンドル握ると人格が変わる」らしくスピードは出す、横断歩道では停まらない、バイクは歩道を爆走します。

クアラルンプール
KL朝の通勤ラッシュ
バンコク
バンコクも車・バイクで混雑


 10万人あたりの交通事故死亡者数を比べるとタイ:36.2人、マレーシア:24.0人と東南アジアではこの2国がぶっちぎりに悪い。
 それでもタイの方がマレーシアより少しましだと感じました。それはウインカーを出す率がタイの方がいくらか高いのです。歩行者にとって車のウインカーの有無は重要な予測材料。

※ シンガポールに行くと横断歩道で車が停まってくれるので感動します。シンガポールの10万人あたりの交通事故死亡者数は日本の4.7人を下まわる3.6人です。

比較⑫ 市内鉄道網

 トラタロウがKLを始めて訪れた1988年にはLRTもモノレールも無く、BAS MINI というピンクの小型バスが走っていました。
 それから37年、市内鉄道網は13路線もできて便利になりました。最初は路線が違うと駅が連結していなくて、使いにくかったりもしましたがそれも解消されています。
 シンガポールも市内鉄道網は発達していますが、規模はやはりKLが上で東南アジアNO1と言っても良いでしょう。

クアラルンプール2
ビルの谷間を走るLRT
バンコク2
バンコク市内中心部を走るBTS

 1993年に初めて行ったバンコクも市内鉄道は国鉄しかありませんでした。現在は8路線が開通し、今後も14路線ぐらいまで増加の予定。まだ利便性はKLに及びませんが、どんどん便利になっています。
 ただ料金はKLの方が安い感じ。まあ産油国で電気などのエネルギーが安いからでしょう。でもバンコク最終日は全路線無料でした。おそらくチャイナタウン新中華門のオープンで国王様が行幸されたからかな。

比較⑬ コンビニ

 タイのコンビニはセブンイレブンが多いのです。そして規模や商品のバラエティーなどは日本と変わらないぐらい。
 調べてみたら日系のセブンで日本(21402店舗)に続いて店舗が多い(13134店舗)とのこと。以前はバンコク以外では見ることもなかったコンビニも全国津々浦々にある感じです。

セブン1
日本と変わらない規模のセブン
セブン2
今まで見た中で最小のセブンがKLセントラル駅

 クアラルンプールも何種類かのコンビニがありますが、セブンイレブンが一番多い。でも場所によって店の大きさが違い、大きくても日本の半分ぐらいであまり使えません。
 使いでがあるのはファミリーマート。もちろん日系のあれですが、ファミカフェもあって飲食物豊富です。
 進出当初は割と強気な価格設定に広まるかな?と思いましたが360店舗まで拡大しています。

比較⑭ 観光

 2024年タイに来た観光客は3555万人(前年比26.3%)とさすがの数字。
 でもマレーシアも2500万人と意外に頑張っていました。特にムスリム観光客が500万人を越えたとか。やはりハラール・フードなどに関してはムスリムに安心な国ですね。

バス1
すごい絵柄のタイ観光バス
バス2
KLで観光バスといえばこれ

 2024年に日本に来た観光客数を調べてみたら、なんと3687万人。観光国タイを越えていました。
円安も要因のひとつなので、やや複雑な心境になりますが、タイ人は100万人以上、マレーシア人も50万人以上来ています。

※ タイ旅行記、B級グルメ情報は姉妹ブログ
  トラベルダイアリートラタロウ で出していきますのでご覧ください

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