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2024 ディパバリ(ディワリ)デコレーションを見に行ってみた

牛をモチーフにしたがガーデンズモールのディパバリデコ

 年中夏で 季節感の無いマレーシアですが、各民族の宗教行事が季節感代わり。2024年は11月31日のディパバリ(サンスクリット語、ヒンディー語はディワリ)はヒンドゥー教徒の祭りであり、新年であり、お買い物シーズンであります。クアラルンプール市内のモールでもディパバリ・デコレーションを施して購買意欲を盛り上げることも。主要モールのディパバリ飾りを見に行きました。
※ ディパバリは太陰太陽暦(月の運行に太陽運行を加味して制定するカレンダー)のヒンドゥー教暦に基づきますので、西暦(太陽暦)に当てはめると毎年変わります。2023年のディパバリは11/12でした。

目次

ディパバリでは何を飾るのかな?

 各モールが飾りつけや、着色した米・砂で描いた床絵コーラム(ランゴーリ)を展示。ディパバリらしい飾りのモチーフがいくつもあります。

スーパーのディパバリ
スーパーのディパバリ・セール広告
オイルランプも売られます

ディパバリは「光の列」という意味

 ① オイルランプ
 ディパバリは善(光)が悪(闇)を倒したことを祝う行事。インド古代叙事詩『ラーマーヤナ』でさらわれた王妃シータを救い帰還したラーマ王子を祝ったのが起源とか。
 善のシンボル光が祭りのモチーフであり「光のフェスティバル」とも呼ばれます。光を表わすオイルランプが飾られ、垂直のデコレーション・ライトも多用される。
 

デコライト
垂直型のデコライト

 ② 孔雀
 ディパバリ飾り上位が孔雀。国鳥としてインドを代表する鳥であり、毒虫・蛇を食べることから悪魔・病魔を避ける吉鳥とされるため。
 さらにマレーシアのインド人社会は南インドから来たタミル系が多く、シヴァ神の子であるムルガン(スカンダ)神信仰が盛ん。この神のシンボルとなるのが孔雀なので大人気。
 KL郊外のヒンドゥー教聖地バトゥ・ケーヴスに祀られるのがムルガン神で、各地に神殿があります。

ムルガン神
孔雀を従えるムルガン神
ラクシュ
ラクシュミー神と白象

 ➂ 象
 ヒンドゥー教は多神教で多くの神々がいますが、ディパバリの時期に降臨するのがラクシュミー神。富を司る女神様で両側に白象を従えるのがお約束。ディパバリはこの女神様をお迎えする時期なので象の意匠も重要。
 また人気のある神であるガネーシャ神は象の頭を持つ神なので象デコ最強です。

ガネーシャ神
ガネーシャ神の神殿

 ④ 牛
 ヒンドゥー教徒は牛は絶対食べません。牛は主神シヴァ神の乗り物であるため、と言われますが大昔から農耕やミルクのための牛を保護するという政策があったようです。
 ヒンドゥー教の経典には「牛は人間の魂の生まれ変わりである」という記述もあり、聖獣として大事にされています。ちなみにヴェジタリアンの多いヒンドゥー教徒は、ミルクでのタンパク質補給を重視するためインドは世界一牛がいる国。

こうし
インドで見た生まれたての仔牛

 ⑤ バナナの葉
 多くの実をつけるため豊穣と繁栄のシンボルとされます。ヒンドゥー教寺院の前には巨大な生け花のようにバナナの樹(厳密に言うとバナナは「草」ですが)が置かれたりすることも。
 バナナの葉にカレーとご飯を盛る「バナナリーフ・カレー」がありますが、食器を使うことで他者の穢れが移ることを嫌うヒンドゥー教の習慣から始まりました。

バナナの葉
孔雀とバナナの葉の組み合わせ

 他にも
 ⑥ ハスの花 濁った水から花を咲かせる様は「悟り」への道を表わす
 ⑦ ポット(壺) ムルガン神への捧げものが「ミルクポット」です
 ⑧ ガンダ ヒンドゥー教のベル、礼拝の合図であり神と信者を結びつける
  などの装飾が見られます。まあ知らなくてもOKですが、知っていると理解が深まりますね。

各モールのディパバリ・デコレーション

① パビリオン・ブキビンタン

 クアラルンプールを代表するモールがパビリオン。その旗艦店がブキビンタン店です。吹き抜けの中央ホールでの立体展示が得意ですが、ディパバリは正面玄関前の噴水装飾のみでした。

パビリオン1
噴水の周囲にデコレーションを配置
パビリオン2
孔雀を対にしています
パビリオン3
床絵コーラムはシールのみ
パビリオン4
オイルランプ、夜は光るのかな?

② ファーレンハイト88

 パビリオンの向かいにあるモール。Fahrenheit摂氏(水の沸点を100度とするあれ)とは別の温度基準である華氏のこと? 昨年は砂で作った孔雀像でしたが今年はもっとシンプル。

ファーレンハイト1
天井からの飾りと門
ファーレンハイト2
入り口から続く道
ファーレンハイト3
コーラムも白のみのシンプル版

➂ ベルジャヤ・タイムズスクエア

 ブキビンタンの南にある大型モール、内部にテーマパークまであります。昨年は実物大の象デコで人目を惹きました。今年もモチーフは象ですが小さいな。

ベルジャヤ・タイムズスクエア1
上から見た様子、仔象がたくさん?
ベルジャヤ・タイムズスクエア2
大規模展示が得意だが今年は小さめ
ベルジャヤ・タイムズスクエア3
全体も照明落とし気味で地味
ベルジャヤ・タイムズスクエア4
写真スポットになります
ベルジャヤ・タイムズスクエア5
お巡りさんも撮っていました

④ メガモール

 AEON・BIGも入っているミッドバレーの大型モール。昨年と同様に正統派のコーラムを展示していましたが、作っている最中でした。

メガモール1
上階から見ると絵柄が良く分かります
メガモール2
モチーフはシタール(インド楽器)と孔雀
メガモール3
中央にリアル・シタール
周囲にオイルランプを配置

 完成しているように見えましたが、最端でまだ作業をしていました。色付きの下絵用紙があり、その上に着色された米をのせていきます。のせるだけでノリ等で固定はしていません。

メガモール4
着色米の袋がいっぱい
メガモール5
99.9%くらい完成しています
メガモール6
下絵にも色がついているので、
指定の着色米をのせるだけ。
それでも根気のいる作業ですね。
メガモール7
垂直ランタン型のデコ

⑤ サンウェイ・プトラモール

 KL市内で一番歴史があるモール。入り口に垂直ランタンを置き、孔雀を花模様で飾っていました。でもこのデコレーションは昨年も見たような? メインの孔雀は同じ物で周囲の装飾を変えただけ?
 まあ、このモールはインド人ほとんど見ませんので、お付き合い程度ですね。

サンウェイ1
今年の孔雀
サンウェイ2
昨年の孔雀

⑥ ららぽーと

 日系のモール。立地の悪さをイベントでカバーするためか春節、ハリラヤ・プアサはそこそこにデコレーションしていました。ディパバリは案内所が少しデコされているだけで、中央ホールは早くもハロウィンです。

ららぽーと1
ディパバリはこれだけ
ららぽーと2
ハロウィンで集客かな

⑦ ガーデンズ・モール

 メガモールの隣にある高級志向モール。伊勢丹も入っています。ここは毎年ディパバリ・デコに力を入れている感じ。

ガーデンズ1
曼荼羅(まんだら)のようなデコレーション
ガーデンズ2
天井からの下がり装飾も見事

 昨年も吹き抜けのホールを利用した立体デコレーションを見せましたが、今年も力作。
 聖獣である「牛」をメインにすえ、中央には豊穣のシンボル「バナナの葉」。周囲を囲むコーラムには「ハスの花」「ミルクポット」「ガンダ(ベル)」などの縁起物を描いてめでたさ盛り盛りですね。

ガーデンズ3
牛は白牛が尊ばれます
ガーデンズ4
これはランタン?花?
ガーデンズ6
礼拝のガンダ(ベル)
ガーデンズ7
ハスの花
ガーデンズ8
ミルクポット

 春節ハリラヤ・プアサクリスマス、そしてディパバリがマレーシアの宗教別年中行事の代表です。いずれも商業主義と結びついてお買物シーズンになっているのが共通点。
 この中でモール・デコに限定するとディパバリが一番規模が小さい感じ。ヒンドゥー教徒はクアラルンプール人口の約8%(インド系は10%いますがキリスト教徒も多いので)と少ないのと、ディパバリ・シーズンに買うインド系商品(伝統服飾・装飾・宝飾関係)はインド人コミュニティで買ってしまい、モール的には美味しくないからかな?
 ※ 数字は2020年マレーシア統計局のデータ。
 ディパバリ・デコをしないモールもありますが、今回意外だったのがKLCCスリアにそれが無かったこと。昨年は孔雀をかたどった巨大展示で一等賞(トラタロウ脳内コンペ)だったのが今年はゼロ。
2週間前で準備もしていないならゼロでしょう。なにか方針が変わったのかな?
 

スリア昨年
KLCCスリア昨年の展示
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