インド系住民が多いクアラルンプールでは数々のヒンドゥー教関連祭典が行われます。一番有名な祭りタイプーサム(Thaipusam)が今年は1/25(木)に行われました。
Thai はヒンドゥー教暦10月、pusam はタミル語で「星」を意味するそうです。この祭りはKL北方の聖地バトゥ・ケーヴで行われますが、参拝者がわが身を痛めつける苦行をすることで奇祭とも呼ばれます。でも今年は苦行がソフトになった感じがしました。
あちらこちらでタイプーサムの雰囲気
マレーシアには200万人を超えるインド系住民がいます。多くはイギリス植民地時代にインド南部のタミルナードゥ州から移住させられたタミル人の子孫。
タミル人に特に信仰される神がムルガン神(スカンダ神)で、その祭典たるタイプーサムには100万人とも言われる人々が参加するとか。インドからも来るようです。
この祭りはアスラ(悪神)の討伐で、母神パールバティより槍を授けられて活躍したムルガン神をたたえるものです。
ムルガン神はシヴァ神ファミリーの次男で柔和な姿で描かれますが最強の軍神。スペード型の槍と孔雀を侍らせるのがお約束。
マレーシアでは人気があり、各地にその寺院が建立されています。
※ シヴァ・ファミリー画ですが左端ガネーシャ神(ねずみ)、中央左シヴァ神(白牛)、ムルガン神(孔雀)。( )は各神の乗り物の動物で、足元に描かれています。中央右パールバティ神は乗り物無いのかな?
KTMでバトゥ・ケーヴへ行きます
KL市内からバトゥ・ケーヴに行くにはKTM(マレー鉄道)が便利。普段は1時間に1本ぐらいしか運航していないのですが、タイプーサム前後は24時間運航で頻発します。
KLセントラル駅から40分ほどで3リンギット(¥90程度)、ただしこの期間は満車状態が多く、なかなか座れません。
参道階段はカバディ(神輿)の行列
※ 短いですが動画でタイプーサムの雰囲気を感じてください
洞窟寺院に続く参道・階段を埋め尽くすのがカバディ(Kavadi)の行列でカバディ・アータム(重荷のダンス)と呼ばれます。カバディはムルガン神に救いを求め参拝する時の供物とされ、ヒンドゥー教の神話に起源を持つ習慣。カバディは「神輿」(みこし)と意訳されています。
様々な姿のムルガン神が描かれます。少年の姿が一番多いようですが、ベイビー姿、青年姿もありました。時々ガネーシャ神、パールバティ神など関連する神の絵もあり。
※ 次の画像はクリックすると拡大します
黄色の衣装は巡礼者
カバディと共に参拝者も進みます。熱心な信者は黄色い巡礼服に身を包み、お供えのミルク壺を抱えています。
わが身を痛めつける苦行をしながら進む参拝者もいます。頬に鉄串を刺したり、背中に重し付きのかぎ針を刺すのです。このためタイプーサムは奇祭と呼ばれ、本国インドでは禁止されたとか。
バトゥ・ケーヴは石灰岩の山で鍾乳洞があちらこちらにあります。ムルガン神の寺院は階段を登った山腹の鍾乳洞の中。
普段は観光客も気軽に行けますが、タイプーサムの当日はカバディと参拝者の大群。とても異教徒が興味本位に行ける雰囲気ではありませんでした。洞窟寺院に入るなら、さほど混んでいない前日に行っては。
※ 次の画像は2023年のタイプーサム前日の様子です、詳しくは下記の記事
2023ヒンドゥー教の奇祭タイプーサムに行ってみた①参拝行列編 に移動します
カバディ出発拠点に行きました
南門を出て右手の高架道路を進むとインド人の町があります。このあたりがカバディや巡礼団の出発拠点となっており、よりデープなタイプーサムの雰囲気が感じられる場所。
苦行がソフト化していた(一応閲覧注意)
タイプーサムは「世界の奇祭」とも呼ばれます。参拝者の一部がわが身を苦しめる「苦行」をしながら参加するため。インドではあまりにも過激になりすぎて、祭り自体が禁止されたとか。
頬に鉄串、体に重り付きのかぎ針など刺す。カバディから伸ばした針金を体に刺すなどの行為を行います。
昨年は苦行者のあり様を見て「すげ~」と思っていましたが、2024年は苦行の内容がだいぶソフト化されているように思えました。
※ 昨年(2023年)のタイプーサムの様子はこちらをご覧ください
2023ヒンドゥー教の奇祭タイプーサムに行ってみた②苦行・参拝編
全部のカバディを確認した訳ではありませんが、昨年のような針金が刺さるカバディは無いようでした。
苦行をしない訳ではないが、全体にソフト化している感じ。ライム重りのかぎ針、鉄串の貫通苦行をやっている人もいましたが、少数派。
何か全体で過激な苦行自粛の動きがあったのかな? まあ、これでタイプーサムの価値が下落する訳でもないし、猟奇的な面だけ強調するのも良くないのでOKなのでは。
カバディからの針金が無くなった代わりに増加した物があります。昨年は無かった参道階段前でのカバディ回転パフォーマンスです。ドラムの音に合わせてカバディを回転させる踊り。まあ、これは体に針金刺した状態でできる技ではありませんからね。
短いですが動画をお楽しみください(環境によっては読み込みに時間がかかります)
お昼を過ぎましたが、参拝者はますます増えていくようです。また来年も来たいなと思いつつ家路につくトラタロウでありました。
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして。にほんブログ村からきました。
サムネイルから、バトルケーブに似てるなぁ(昔KLに住んでいたのです)と覗いてみたら、
やっぱりバトルケーブで、懐かしいなぁと見入ってしまいました。
こんなに賑やかなイベントがあったとは。
ワタシが時々行っていたのは普通の平日夕方、
ライトアップされた神秘的な空間が魅力的でのんびり過ごしていました。
また時々のぞかせていただきます。
よろしくお願いします。
香港ぐらっしー ミシェリー様
コメントありがとうございました。クアラルンプールに移住して1年ですが、マレー人、華人、インド人と多民族社会で文化・宗教・食生活などが異なるので、変化があって楽しいです。いろいろなポイントを紹介したいと思いますので、またご覧ください。住んでおられたということなので、懐かしい物も出てくるかもしれませんね。
トラタロウ