ディパバリは闇(悪)に対する光(善)の勝利を祝う祭りで、ヒンドゥー教暦の新年にもなります。インド系住民が多いマレーシアでは祝日となり、ヒンドゥー教徒が盛り上がる行事。
また財や豊かさの女神であるラクシュミー神を祀るためか、ディパバリ期間はお買い物シーズン。各モールではセールを行い、ディパバリにちなんだ飾りつけを行うので見に行ってみました。
ディパバリ(Deepavali)は古代インド語サンスクリットで「光の列」を意味し、ヒンズー語ではディワーリ(Diwali)とも呼びます。
あちらこちらにディパバリの影
ディパバリはヒンドゥー教暦で行われ、これは月の運行を主体とする太陰太陽暦なので太陽暦である西暦に直すと毎年変化します。2023年のディパバリは11/12(日)。ひと月ぐらい前からディパバリの影が見えてきました。
最初の兆候はやはり商機に敏感な小売り業界から。スーパーの入り口にディパバリ模様が登場します。
ディパバリ・デコレーションのメインはモール
スーパーや商店でもディパバリ・セールのポスターや看板を出しますが、大規模なデコレーションはショッピング・モールが主役。ラクシュミー神を迎えるコーラム(Kolam)と呼ばれる砂絵、光を象徴するランタン、孔雀などが代表的なモチーフです。
KL中心地のモールを巡ってディパバリ飾りを見てきました。
ベルジャヤ・タイムズスクエア
ブキビンタンの一角にあるモール。ハリラヤ・プアサの時の実物大ラクダ模型2頭は圧巻でしたが、今回は実物大の象。リアルな造形ではありませんが大きさは本物。
ベルジャヤ・タイムズスクエアのハリラヤ飾りはこちら
※ 2023 ラマダン と ハリラヤ を感じてみた①ラマダン・断食編 に移動します
スンガイ・ワン
ブキビンタンの小規模店舗の集合モール。客層が華人系主体のためかコーラムがひとつだけ。でも、なかなか精巧のデザイン。人生初コーラム見物だったので関心しました。
マレー語でSungeiは「川」、Wangは「お金」なので「金河」なのかな。
ファーレンハイト88
ブキビンタン中心部にある「ユニクロ」も入っているモール。以前は若者向けの店が多かったが最近は中間層向けかな。エントランス・ホールに孔雀像ですが、どうやら砂細工みたい。
パビリオン
ブキビンタンを代表するモール。春節の時の巨大ウサギ像と吹き抜けを使ったデコレーションは素晴らしかった。期待をしていったらエントランス前の噴水まわりだけのディパバリ・デコレーションでちょっとがっかり。
パビリオンの春節デコレーションはこちら
※ 2023年クアラルンプールの春節(旧正月)を感じてみた に移動します
メガモール
ミッドバレーにあるAEONも入っている巨大モール。隣のガーデンズモールに通じる通路に長さ10m近い長大なコーラムが描かれていました。
長大ですごいのだが惜しむらくは俯瞰(ふかん・高い所から見下ろす)できない。
精巧な孔雀の砂絵には大きな羽根部分がつながるが、視線が低いとつながって見にくい。
BiG
AEON の廉価版みたいな位置づけ? 予算ないけどディパバリ贈り物セットを販売するので作ってみました的な砂絵。店員さんの手作りかも。こういうのも良いですね。
ガーデンズモール
メガモールに隣接する高級志向のガーデンズモール。俯瞰を前提に吹き抜けホールに作られたコーラムがすごい。同じ高さから見ても細長の巨大天蓋があるのでやはりすごい。
サンウェイ・プトラモール
KL市内では歴史のある老舗モールだけどディパバリ・デコは最小限という感じ。まあ、ここは客層がマレー系華人系でインド系ほぼ見ませんので。
SOGO
ここも客層マレー系中心なのでディパバリ・デコは小規模。ただインド風のショールや帽子を貸してくれて写真を撮れるよ、というサービスをしていました。このサービス係だけインド人。
スリア KLCC
ペトロナス・ツインタワーの下に広がる巨大モールがスリアKLCC。北側入口には小さなコーラムがあるが、まさかこれだけ?
これはすごい! 宮殿風の東屋の左右に長大な羽根を持つ孔雀が対であります。中央には9連環の巨大コーラム。
なんでこんなに孔雀が多いの?
今回初めてディパバリ・デコレーションを見ましたが孔雀が多いですね。もちろんインドの国鳥であり、毒蛇・毒虫も平気で食べることから悪を打ち倒すシンボルになるので当然。でも、インド本国ではこれほど孔雀は使われてません。
理由のひとつはマレーシアでムルガン神(スカンダ神)信仰が盛んということでしょう。ムルガン神はバトゥケーブスに祀られる神で巨大な神像があります。ムルガン神の乗り物・象徴が孔雀なので多用されるのかな。
ムルガン神は象の頭のガネーシャ神と同じく主神シヴァと女神パールバティの息子。でもインドではシヴァ・ファミリーが描かれるときもこの三柱の神々のみで、ムルガン神は登場しないことの方が多いです。しかしマレーシアではムルガン神もしっかり登場し、その人気のほどがうかがわれます。
ムルガン神の特徴は母から授かった槍を持つことと孔雀です。ムルガン神は軍神ですが、仏教には守護神として取り込まれ「韋駄天」と呼ばれています。そうあの足の速い神様です。
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