観光地でもある大都会クアラルンプールですが、ガイドブックにも載っていないローカル色あふれる地域を訪れてみます。今回はMRTカジャン線のタマン・ムティアラ駅(Taman Mutiara)の周辺。クアラルンプール中心部の南東チェラス地区になりますが、セランゴール州との境に近い場所。KLは地域によって住む民族が偏っている傾向がありますが、ここは華人(中国系)が多くマレー系インド系市民をほとんど見ませんでした。
※ あまり観光にも買い物にもグルメにも役立ちません(笑)。KLにこんな場所があるんだな、というだけのお話です。
※ 連邦直轄領という特別な位置づけにあるKLですが、大きさは南北20Km、東西10Km(人口198万人)ほどでさほど大きくありません。隣接する(というか内包されている)セランゴール州にも都市圏(中心都市の影響が強い地域)が広がっており都市圏人口は860万人にも及びます。マレーシアの総人口が3350万人ですので、実に人口の4分の1がKL首都圏に住んでいる。
タマン・ムティアラへの行き方は?
KL市内を走る市内鉄道のひとつMRTカジャン線(Kajan Line)の駅なのでこれに乗ればすぐ。ブキビンタンからなら6駅目。所要15分、運賃3リンギット(¥100くらい)。
バスでもチャイナタウンに隣接するコタラヤ・バスターミナルから400番、450番バスで行けます。まあバスは時間帯・天候によっては渋滞しますのでMRTが無難ですね。
高層ビル・マンションが立ち並ぶKL市内ですが、タマン・ムティアラ駅周辺は郊外にかかるのでそんなに高層ビルはありません。駅の西側は戸建て住宅が続く平地、東側は緩やかな傾斜地に住宅が並んでいます。ちなみにタマン・ムティアラの Taman はマレー語で「庭園」ですが「ニュータウン」という意味もあります。タマン・○○って KL に多い地名ですね。
まずはモールを探索します
タマン・ムティアラ駅周辺はこの近辺の商業の中心地。駅から伸びる通路で2つのモールに行くことができます。
北側にある Eko Cheras Mall は新しくて大きな近代的ショッピングモール。そこの雑貨屋で売られていた置物でここの客層が分かりました。それは「金の豚」の置物。華人(中国系)が多くて、豚を忌み嫌うイスラム教徒は来ないモールなのね。
店舗はどこのモールにでもあるような感じ。あちらこちらにある日系カラオケ・チェーン「カラオケまねき猫」もありますが、ここが1号店らしい。
華人が多い地区の高級スーパーは日本食品の品ぞろえが豊富。マレーシアの三大民族マレー系、華人系、インド系の中で華人が一番お金持ち&食品が似ていて親しみやすいのが理由かな。
マレー系だとイスラム教の禁止飲食物(ハラル食品じゃないとダメ)があるし、ヒンドゥー教が多いインド系はヴェジタリアンもいるので日本食は買いづらいのだ。
マレーシアで時々見かける「ユビソオ」がありました。どんな店かと調べるとこんな記事発見。
アジア狙う謎の日本ブランド「ユビソオ」の正体パクリのパクリ?がマレーシアで急拡大 に移動します
駅の東側に位置するのが Cheras Leisure Mall 。こちらは昔からあったような雰囲気で、個人商店もありローカルな雰囲気を楽しめる。客層は限りなく100%華人。駅から連絡通路でつながっています。
KLで DIYショップと言えば、異様なほど支店が多い Mr.D.I.Y です。でも安いが品質はいまひとつという評判。品質を求めるなら ACE Hardware が良いらしいが、支店は郊外に多く車が必要な場所が多いみたい。ここの支店なら公共交通機関で行けます。
ほとんど中華な商店街です
レジャーモールの南側には少し古びた、いい感じの商店街。ほとんどが中華系の店舗でここがタマン・ムティアラ繁華街の始まりだったんだな、という感じ。
KL中心部にも残っているのが ShopHouse 。東南アジアの華人街に多い1階が店舗で上階が住居という形式。ここの商店街は ShopHouse の近代版という感じです。
この商店街の飲食店、日本食の比率が妙に高い。台湾だと10軒に1軒は日本食だったりするが、それに近い比率ですね。
ある日本食店のメニューを見たらおもしろかった。家禽(かきん・食用に飼われる鳥の総称)は正しい日本語だけど、固すぎてメニューには使いませんよね。
タタギリ定食とは何だ? アルファベット表記で Tartar とあるのでタルタルソースのことらしい。頑張って日本語っぽさを出しています。
この商店街基本的に中国語と英語表記しかありません。マレー語は店の看板の基本表示のみ。
イスラム教徒のマレー系が買い物に来るなんて想定していませんね。実際来ないだろうし。
「西餅屋」という看板あり。「餅」は中国語では小麦製品(月餅など)を意味するので、西の餅はパン屋なのです。「洋餅」という表現もあります。
英語やアルファベット表記が多いので、ほぼすべてが漢字表記の中国本土とは違います。でも華人が多数派であるシンガポールみたいな場所がタマン・ムティアラ駅周辺でした。
でも一か所だけマレー系オンリーの場所があります。商店街の東の赤い屋根の建物は消防署。この中はマレー系が多数派のはず。マレー系を優遇するブミプトラ政策のため、公務員はマレー系が多数派なのです。
マレーシア全体で華人は23%程度。でも商業・経済を握る華人は都市部での比率は高いのです。連邦直轄領KL内に限定すれば華人系は41.6%でマレー・先住民系の47.7%とさほど変わりません。
まあ KL自体が華人による錫鉱開発から始まった都市ですから。
※ 数字は2023年の統計
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