クアラルンプールのラマダン(断食月)の様子を紹介する第三弾。地味な宗教行事期間とみられがちなラマダン(イスラム暦9月)ですが、実は一大消費期間なのです。
マレーシアの人口の6割以上を占めるムスリムの皆さん、昼は飲食不可の状況で頑張ってますが、夜になると食べる、遊ぶ、買うとアクティブになります。
特にラマダンの後半は来るべき断食終了後のお祭りハリラヤ・プアサ( Hari=日、 Raya=偉大な、 Puasa=断食、「断食の偉大な日」)に向けての準備に盛り上がるのでした。
深夜まで続くバジュラヤ・セール
トラタロウが住んでいるのはマレー系インド系市民の繁華街。装飾品や民族衣装の店が軒を連ねる一角。普段からこんな民族衣装が売られてます。
これらの店、ハリラヤが近づくにつれて次々と大セールを企画するのはバジュヤラのため。
Baju ( 服 )+Raya ( ハリラヤ )ということで、文字通り「ハリラヤ用の晴れ着」のこと。普段はあまり民族衣装を着ないマレー系の男性も、ハリラヤの時は着るのが普通の感覚みたい。
バジュラヤは女性用のバジュ・クルンと男性用のバジュ・ムラユに分かれますが、日本でいうお正月であるハリラヤ用に新調するのがよろしいとか。近年は家族で色やデザインをそろえるのがおしゃれだとか。これはもう商売人魂に火がつきますよ。
このマレー系民族衣装激戦区にひときわ大きな専門店があります。普段から人気のある店ですが、ハリラヤ・セールの様子がすごかった。安いのか、品が良いのか、宣伝上手なのか、その全部なのか開店と同時にお客がつめかけ、深夜12時ちかくまで客足が絶えることがありませんでした。これが連日続く、すげ~。この期間で半年分くらいの売り上げ稼いでいるのでは、と思えるくらい。
もちろんこの店だけではありません。周辺の店も臨時の屋台バザールも高級店もバジュラヤ販売一直線。これが断食最終日の夜まで続くのでした。
※勝敗の鍵は主婦の心をつかめるか、かな? 前述したように家族で色・デザインをそろえることがあるので、権限を握っているであろう主婦が決めれば一家族分Getだぜ。
ハリラヤ・ソングを聴かせて
ハリラヤまであと10日ほど、ゴールが見えてきました。スーパーやモールに行くとなにやらハリラヤの歌が流れています。マレー語なのでサビの「ハリラヤ~なんちゃら」のハリラヤの部分しかわかりませんが(笑)。
歌詞が知りたいと思いYouTube「Hari Raya Song」で検索すると、いくつものハリラヤ・ソングが聴けました。
その中で 『 Pejam Celik Hari Raya』という曲の動画が英語歌詞字幕付き。
だいたいこんな内容でした。まあ、怪しい英語力トラタロウの解釈なので正確ではないですが、雰囲気は伝わると思います。
「 ハリラヤ勝利の日、ハッピーなハリラヤをあなたに
片目で瞬きをしたら片隅にハリラヤが、一瞬一瞬が貴重、親族と愛する人たちと
片目で瞬きをしたらハリラヤが訪れた、クラッシックなハリラヤ・ソングは楽しい雰囲気をもたらす、私たちはお互いにフレンドリー、私たちの笑顔と笑いは本物、祭りの歌を歌わせて、なんと祝福された日なのかしら、ハリラヤ勝利の日、ハッピーなハリラヤをあなたに 」
ハリラヤがきて「うれしいな、楽しいな、みんなハッピー」という感じ。ハリラヤを待ちわびる人々の気持ちが伝わりますね。
これは Iman Troye という女性歌手が2021年に発表したハリラヤ・ソングです。ちょっと演歌みたいな感じもあって日本人にも向きます。トラタロウも聴いているうちに好きになりました。知らないと聞き流すところですが、曲をおぼえるとあちらこちらで流れていることに気づきます。まだ人気があって定番ソングになっているのかな。
1ウタマのホールでも流れていました。少しだけ動画を撮りましたので短いですがお楽しみください。サビの部分になります。
子供が踊っているのがカワイイです
YouTubeで検索すると Official Music Video が試聴できます。
大晦日はエンドレス花火
ラマダンの後半から花火を売る屋台が参加。夜になると散発的に花火が打ち上げられることがあります。ラマダン終了が近づくにつれて花火打ち上げは増加。最終日は…
ラマダンの終了は天体観測で厳密に決められますが、今年の断食最終日が4/21(金)。この日の日没で断食が終わり、翌日から晴れてハリラヤ・プアサです。
大晦日にあたるこの日の夜はすごかった。いままで一晩で数回だった打ち上げ花火が数分おきに間をおかず着火されます。打ち上げ場所も歩道、中央分離帯、空き地とどこでもあり。
花火屋台も大幅ディスカウントしているのかな?
短いですが花火の動画をお楽しみください
ハリラヤの朝は礼拝へ
ハリラヤ・プアサはムスリムにはお正月に相当する行事。狂乱の花火大会だった最終日の夜が大晦日。翌朝は元旦で日本では初詣ですが、マレーシアでもハリラヤ・プアサ初日の礼拝は大切なようです。
早朝にマレー系の多いチョーキットやカンポンバルに行くと、バジュラヤ(晴れ着)に身を包んだムスリムがモスクに行く姿を見かけます。
紹介した3つのモスクはトラタロウのウォーキング・コースで朝よく通りかかります。言ってはなんですが、どのモスクも普段はそんなに礼拝に来る人はいません。元旦の礼拝は特別なんですね。ちなみに翌朝は普通の状態に戻ってました。
ハリラヤに入ると多くの店や会社はお休み、帰省の人も多いためクアラルンプールの街中は静かになります。家族・親戚・友人が集まって楽しむ期間になるのです。
ハリラヤ期間は1ヶ月近く続くらしいですが、内輪の集まりが中心になるため異邦人が感じられるラマダン・ハリラヤはそろそろ終わりになります。
ちょっと気になるのがラマダンは太陰暦に基づいて行われるため、西暦を基準にすると毎年11日間づれてきます。10年前のラマダンは西暦8月でした。するとあと数年すると華人のお正月である春節とラマダン・ハリラヤ期間が重なりだしますね。片方だけでもすごいのに、重なったらどうなるんだ?
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